成長期の「ジャンプが重い」をどう捉えるか
結論から言うと、以前は軽く跳べていた子でも思春期にジャンプが急に不安定になるのは珍しくありません。練習不足ではなく、体の伸びとともに動きの再調整が必要になる自然なプロセスです。ここで焦らず、「一度リセットして作り直す時期」と理解できるかが、親子の安心につながります。
根拠として、身長や体重の増加は重心と手足の比率を変え、神経‐筋の協調に一時的なズレ(いわゆるクラムジー)を生みます。骨の成長に筋や腱の発達が追いつかず柔軟性が落ちたり、以前の力の入れ方では高さや回転が出にくくなるため、「できなくなった」のではなく「合わなくなった」だけと捉えるのが適切です。
注意点は、ここで反復回数を増やして押し切ろうとすると、成長板に負担がかかりオーバーユース障害を招きやすいことです。痛みを我慢して続けるより、練習量と休養の再設計が結果的に復調を早めます。必要なら一時的なブレイクも選択肢に入れましょう。
実務的には、まず基礎に立ち返ること。助走・踏切・空中・着氷をゆっくり分解し、易しいジャンプでフォームを再構築します。氷外では体幹・片脚バランス・可動域を整え、成長後の体でも通る軸をつくる。道具は足に合う靴と適切なエッジを維持し、コーチと家庭で同じ方針を共有することが大切です。
読者の皆さまへ。成長期は後退ではなくアップデートです。今は遠回りに見えても、整えた基礎と体づくりは必ず戻り、その先の安定につながります。よろしければ、各ご家庭での工夫や「これで安心できた」という経験もコメントで教えてください。⛸📝
参考リンク:
成長期に思うようにスポーツができなくなる「クラムジー」 その症状と向き合い方(朝日EduA) https://www.asahi.com/edua/article/14786658
成長期アスリートにおける傷害総論(J-Stage 学術論文PDF) https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsatj/4/1/4_11/_pdf
The Power of Pause: Why and How to Take Breaks in Sport(U.S. Figure Skating) https://www.usfigureskating.org/news/article/power-pause-why-and-how-take-breaks-sport
Taking STARS to the Ice(U.S. Figure Skating・成長スパートとトレーニングPDF) https://www.usfigureskating.org/sites/default/files/media-files/Taking%20STARS%20to%20the%20Ice.pdf
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